「えっ、パンクなのに、そんなにかかるの?」
修理の金額を聞いて、心の中でそうつぶやいたこと、ありませんか。
金額の中身が見えないと、高いのか妥当なのか、判断のしようがありません。そこでこの記事では、修理代をいったん分解してみます。
修理代は何でできてる?
修理代は、大きく2つに分けられます。
- 工賃(手間の代金)。自転車をばらして、直して、元どおりに組み、調整するまでの作業の代金です
- 部品代(物の代金)。新しいタイヤやチューブ、ブレーキゴムなど、取り付ける物の代金です
調整だけで済む作業は、手間の代金が中心です。ブレーキ調整は880円、変速調整は880円。部品を替える作業になると、そこに物の代金が加わります。
工賃表のタイヤやチューブの交換には、「使用する商品で異なります」という説明が付いています。
前と後ろで、なぜ違う?
工賃表を見ていて、あれ?と思った方もいるかもしれません。同じタイヤの交換なのに、前輪と後輪で金額が違うんです。
| 作業 | 工賃(税込) |
|---|---|
| チューブ交換(前輪) | 4,400円〜 |
| チューブ交換(後輪) | 5,500円〜 |
| タイヤ&チューブ交換(前輪) | 6,600円〜 |
| タイヤ&チューブ交換(後輪) | 7,700円〜 |
差は、どちらも1,100円です。
付けるタイヤは、前も後ろも似たようなもの。違うのは、手間のほうです。
前輪は、車輪を外せば作業に入れます。後輪には、チェーンやブレーキ、ギアを切り替える仕組み、スタンドなどがつながっています。タイヤを替えるには、それを一度外し、終わったら付け直して、ブレーキやチェーンの張りを調整し直すところまでが仕事です。
金額の差は、この手間の差です。工賃は「手間の値段」。この2行を見比べると、それがよく分かります。
パンクなのに高いのは?
最初の「えっ」が出やすいのが、パンクのときです。
パンク修理は1,430円。ところが、見てみたらチューブ交換(前輪4,400円〜・後輪5,500円〜)になった、ということがあります。
穴をふさぐ修理が向いているのは、小さな穴です。チューブが大きく裂けていたり、穴がいくつも開いていたり、空気を入れる口(バルブ)の根元が切れていたりすると、ふさいでも持ちません。そのときは、チューブごと替えることになります。
空気が少ないまま乗り続けると、タイヤがつぶれて、中のチューブが擦れやすくなります。裏を返せば、空気をこまめに入れておくことは、チューブ交換の出番を減らす手軽な節約です(空気入れの基礎)。
「〜」が付くのはなぜ?
工賃表には、金額のあとに「〜」が付いた作業があります。
これは、使う部品で金額が変わる作業の印です。タイヤひとつでも、太さや丈夫さ、パンクしにくい作りかどうかで値段が違います。どれを選ぶかで、合計が変わるんです。表の金額は、そこから始まる出発点だと思ってください。
反対に、「〜」の付いていない作業は、表の金額がそのまま作業の金額です。
見積もりで、何を聞く?
作業の前に、金額をお伝えします。そのときに、この3つを聞いてみてください。
- 「部品代は、この金額に入っていますか?」手間と物が分かれて見えると、合計の見え方が変わります
- 「部品は選べますか?」「〜」の作業なら、長持ちするものか、値段を抑えたものかで金額が動きます。どちらを優先したいかを伝えてください
- 「今日直さないと危ないのは、どれですか?」何か所も傷んでいたら、ブレーキやタイヤのように、ケガにつながるところが先。急がないものは、次の機会に回す考え方もあります
3つ目は、予算が限られているときに効く質問です。全部を一度に直すか、分けて直すか。決めるのはあなたです。
安い自転車でも同じ?
正直に言うと、手ごろな値段で買った自転車ほど、修理代が高く感じられやすいものです。
理由は、ここまで読んでくださった方なら、もうお分かりかもしれません。工賃は、自転車の値段ではなく、作業の手間で決まるからです。安い自転車でも高い自転車でも、後輪のタイヤを替える手間は同じです。
サイクルスポットの工賃は全店同じで、工賃表に載せています。どの店に持っていっても、表の金額は変わりません。
内訳を聞くのは失礼?
金額の中身を聞くのは、値切ることでも、疑うことでもありません。
何にいくら払うのかが分かれば、今日直すものと次に回すものを、自分で選べるようになります。
自転車を見ないと決まらない金額は、近くの店で。
「これは、何の代金ですか?」。その一言で、修理代はただの数字から、納得して払えるお金に変わります。