思わずズボンで手をぬぐって、もう一度握る。やっぱりベタッとする。
汚れがついたのかと思って拭いても、数日たつとまた元どおり。
そのベタつき、上に何かがついたのではありません。グリップのゴムそのものが、とけかけているサインです。
なぜベタベタになる?
引き出しの奥から出てきた、古い輪ゴム。触るとベタッとして、引っぱるとぷつっと切れますよね。グリップに起きているのは、あれと同じことです。
ゴムは、細長い分子がたくさんつながってできています。日光(紫外線)や熱、空気にさらされるうちに、そのつながりが少しずつ切れていきます。すると、表面がとけたようにやわらかくなって、ベタつきはじめます。
ゴムをやわらかく保つために混ぜてある、油のような成分が表面ににじみ出てくることもあります。手のひらにつく黒っぽい跡は、その傷んだゴムです。
夏の日なたに置いた自転車のハンドルは、触れないほど熱くなります。屋根のない場所に置いている自転車ほど、グリップの傷みは早く進みます。
つるつるも、傷みの一つ
反対に、グリップが硬くなって、つるつるすべるようになることもあります。
これも、ゴムの傷みです。ゴムの種類や置き場所によっては、やわらかくなるのではなく、硬く縮んでいきます。表面の細かいでこぼこもすり減って、手が引っかからなくなるんです。
ベタベタとつるつる。向きは逆ですが、どちらも「そろそろ替えどき」という同じ知らせです。
拭けば直る?
ベタつきを取ろうとして、除光液やシンナー、アルコールで拭きたくなるかもしれません。これは、よくある勘違いです。
こうした液は、ゴムの表面をとかします。拭いた直後はさらっとしても、傷みを先に進めてしまいます。
手元でできる応急の手入れは、このくらいです。
- 薄めた中性洗剤で拭く。台所用の洗剤を水で薄め、固くしぼった布で拭いてから、水拭き、乾拭きの順で仕上げます
- ベビーパウダーを薄くはたく。表面のベタつきを粉が吸って、しばらくさらっとします
- 手袋をする。手のひらに跡がつくのを防げます
正直に言うと、どれも一時しのぎです。ゴムそのものが傷んでいるので、しばらくするとまたベタついてきます。拭いて持つのは、交換するまでのつなぎだと考えてください。
替えどきの見分け方
グリップを握って、こんなところを見てください。
グリップの替えどき
- 拭いても、数日でベタつきが戻る。表面ではなく、ゴム全体が傷んでいます
- ひび割れや、欠けがある。硬くなって、割れはじめています
- 強くひねると、くるっと回る。ハンドルにしっかり留まっていません
- 端が破れて、中の金属が見える。ハンドルの端が、むき出しになりかけています
特に気をつけてほしいのは、下の2つです。
グリップが回ると、曲がるときやブレーキをかけるときに、手がすべってハンドルを取られます。端がむき出しになると、転んだときに金属の端が体に当たって、けがのもとになります。ここまで来ていたら、乗る前に替えてください。
交換はいくら?
サイクルスポットの工賃は全店同じです。
| 作業(こんなときに) | 工賃(税込) |
|---|---|
| グリップ交換 ベタつく・すべる・回る・端が破れた |
880円 |
グリップによっては接着剤で留めるので、乾くまで少し時間がかかることがあります。
グリップそのものの代金も含めて、作業の前に金額をお伝えします。ほかの作業は工賃表にあります。
日なたを避けるだけで
替えたグリップを長持ちさせたいなら、いちど置き場所を見直してみてください。
屋根の下に置く。屋根がなければ、自転車カバーをかける。これだけで、日光と熱に当たる時間は大きく減ります。
ときどき、手の汗や脂を固くしぼった布で拭いておくのも効きます。
毎日握る場所だから
グリップは、自転車の中で手がいつも触れている場所です。
ベタつきやすべりは、慣れてしまうと気にならなくなります。でも、雨の日の曲がり角でハンドルを取られてから気づくのでは遅すぎます。
手のひらに黒い跡がついたら、それが替えどきの知らせです。握り心地が変わると、いつもの道が少し軽く感じられるはずです。