まず、ひとつお伝えしたいことがあります。
何か月も置いておいた自転車のタイヤがぺこぺこなのは、壊れたからではないことが多いんです。
その理由と、乗る前に自分で見られるところ、店に任せたほうがいいところを、分けて書きます。
なぜ空気が抜けるの?
実は、タイヤの中のチューブ(空気を入れるゴムの管)は、空気を少しずつ通してしまいます。
ゴムには、目に見えないほど細かいすき間があります。空気の粒は、そのすき間をくぐって、ほんの少しずつ外へ出ていきます。ふくらませた風船が、何日かたつとしぼんでいくのと同じ仕組みです。
だから、乗っていなくても空気は減ります。何か月も置いておけば、ぺこぺこになるのは自然なことなんです。
空気を入れて、次の日も硬いままなら、まずは大丈夫。
数日でまた抜けてしまうなら、パンクか、空気の入り口の小さなゴム(虫ゴム)の傷みを疑います。
乗る前の3分チェック
出かける前に、ここだけ見てください。全部で3分ほどです。
久しぶりに乗る前のセルフチェック
- 空気。空気を入れてから、親指でタイヤを強く押します。ぐっとへこまなければ十分です
- タイヤのひび。タイヤの横に、細かいひび割れが広がっていたら、ゴムが古くなっています
- ブレーキ。前と後ろ、片方ずつレバーを握って、自転車を前に押します。車輪が止まれば大丈夫。レバーがハンドルのグリップにくっつくほど握れてしまうなら、調整が必要です
- チェーン。茶色いさびが出ていないか。たるんで、下に垂れ下がっていないか
- ライト。点くかどうか。電池式なら、電池から液がもれていないかも見ます
- 電動アシストなら、バッテリー。充電して、残りの量の表示がふつうに出るか
どれか1つでも引っかかったら、乗り出す前に直しておきましょう。特にブレーキは、止まれるかどうかに関わります。
チェーンのさびは?
チェーンの表面がうっすら茶色い程度なら、油をさせば、動きが戻ることが多いです。
ここで、よくある勘違いがあります。「油は、たっぷりさすほどいい」というものです。
油が多すぎると、余った油に砂やほこりがくっついて、黒いどろどろになります。これが、チェーンや歯車をかえって削ってしまうんです。飛び散った油が車輪の縁に付くと、ブレーキが効きにくくなることもあります。
油は、チェーンのつなぎ目に少しずつ。さしたらペダルを回してなじませ、表面に残った分は布でふき取ります。
合言葉は、「さしたら、ふく」です。
さびで固まって、つなぎ目が曲がらなくなっていたら、チェーンの交換を考えるころです。
ちなみに、ブレーキそのものに油をさすのは禁物です。止まれなくなります(ブレーキのキーキー音の話でも書いています)。
電動のバッテリーは?
電動アシスト自転車のバッテリーは、使っていなくても少しずつ減っていきます。
残りが空っぽのまま長く置くと、バッテリーが傷んで、充電できなくなることがあります。久しぶりに乗る前は、まず充電してみてください。
充電しても残りの量が増えない、ランプが点滅したまま。そんなときは、店で見てもらったほうがいいサインです。
長く乗らないときの置き方は、バッテリーの説明書に書いてあります。次の冬に向けて、一度読んでおくと役に立ちます。寿命の目安はバッテリーの寿命の記事にもまとめています。
店に任せるのはどこ?
セルフチェックで引っかかったところは、店で直せます。サイクルスポットの工賃は全店同じです。
| 作業(こんなときに) | 工賃(税込) |
|---|---|
| 一式点検 どこが悪いか分からない。全体をまとめて見てほしい |
2,750円 |
| 油さし チェーンがうっすらさびた・きしむ |
330円 |
| チェーン交換 さびで固まって、つなぎ目が曲がらない |
6,050円〜 |
| ブレーキ調整 効きが弱い・レバーを握り込めてしまう |
880円 |
| 電球交換 ライトが点かない |
880円〜 |
「〜」が付いている作業は、使う部品で金額が変わります。どの作業も、始める前に金額をお伝えします。一式点検で部品の交換が必要なところが見つかったら、その分の金額は別にお伝えします。
空気を入れるだけなら、店の空気入れを使ってください。空気入れは無料です。
走り出す前のひと手間
冬のあいだ眠っていた自転車は、見た目は変わらなくても、空気が減り、油が切れ、少しずつ固くなっています。
乗り出す前の3分で、その差はだいぶ埋まります。
点検の合言葉には、警察などが広めている「ぶたはしゃべる」もあります。ブ=ブレーキ、タ=タイヤ、ハ=ハンドル、シャ=車体、ベル=ベル。ハンドルがぐらつかないか、ベルが鳴るかまで見ておくと、もっと確かです。
春の最初の一日を、気持ちよく走り出してください。気になるところがあれば、その自転車のまま近くの店へどうぞ。